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2010年8月29日 (日)

想う気持ち

森にツリーハウスの作りかけがある。
そこにロープが無造作に掛かっている。
子供たちはそれをブランコにして遊んでいる。

先日見学日があった。
来年入園する小さなお友達がやってきた。

ピッコロのT君(3歳)がブランコに乗っていた。
小さなお友達も
乗りたくてブランコのロープを持った。
持っていると
T君はこげない。
困っていた。

ここで大人は

「順番でしょ」
「先にやっていた人が終わったらね」
「じゃんけんで決めれば」

そう言いたくなるが
ここはグッと我慢。
遠くからみていた。

どうするのだろう。

ブランコに座っているT君。
ブランコをやりたくて
ロープを持っている小さなお友達。
ややしばらく見つめ合っていた。
2人とも動かない。
その顔は怒っている訳でもなく、
相手をどけようとたくらんでいる訳でもなく、
ただただ2人とも困惑しているように
私には見えた。

細い緊張がはりつめた時間
だまっているこちらの方が辛い。

どちらかが相手をたたくのか
押すのか
「どいて」と言うのか。
息がとまった。

するとなんの前触れもなく、
3歳のT君がサッとブランコから離れた。

あっ

2、3歩進みブランコを見る。
予想外の展開だ。

目の前のブランコがあいた小さなお友達は
さっそく乗った。
足を地面につけて
ブランコをゆらした。

T君は遠くに立ち
その様子から目を離さない。
静かにジッと見ていた。

しばらくして、
T君はブランコに近づいた。
そして小さな子に言った。
「足をあげて(やるんだよ)」
その声に恨みはない。
自分が乗っていたブランコを
ゆずったという悔しさもない。

そうこうしている間に小さなお友達は
ブランコを降りた。
T君が再び乗る。
嬉しい。

いつもは
「僕が先に乗っていたんだよ」
「手をどけて、できないでしょ」
そういうばすだ、T君だったら。
              

あの沈黙の静けさで
彼は何を考えていたのだろう。
           

想った結果、
ブランコをゆずるという結論が出た。
だからどいた。
小さなお友達への彼の精一杯の思いやり。
しかも3歳だ。

大人は出なくていい。
出ない方がいい。

T君の人を想う心、
困難を乗り越える力、
その時間を保障する。
そして大人は
T君のその行動がこの上なくいとおしい。

特別な日でもなく
イベントでもない。
何でもない日常に
大事なものが隠れている。

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