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2011年2月12日 (土)

テレビごっこ

森で2人の年長男子が
戦いごっこを始めた。
さすが年長組、いい力加減。
安心して見ていられる。

その2人のそばに
3m程の倒木があった。

倒木のこちらにいた子どもたち。

「あっ、テレビが始まった」

倒木のあちらがテレビ、
こちらがお茶の間というわけだ。
ヒーローものの番組の始まり始まり。

途中でヒーローが
笹の葉で作った
三角飴ちゃんをくれた。

子「キャー!テレビから飴が出たー!」

ゲラゲラ!
キャーキャ−!

お茶の間の子どもたちは
枯れ葉にぶっ倒れる。
                

ヒーロー番組をさんざん応援したあと、
お茶の間Y君(5歳)が言った。

「チャンネルかえてよ、5チャンに」

すると20㎝程の小枝が出てきた。

K君(4歳)「これこれ」
リモコンらしい。(こんなリモコン?!?!)

リモコンの操作はみみちゃん。

みみちゃん「ねーねー、5チャンネルってどこ」

どこでも押せばいいと思うのだが(笑)
助っ人登場。

Mちゃん(5歳)「えーと、1、2、3…」

と小枝の小さなフシを
何度も数えている。

Mちゃん「ここ、ここ」
みみちゃん5番を押す。
ピッ。

すると突然、今まで戦っていたヒーローが
踊るEXILEに変わった。

お茶の間、大爆笑。
またひっくり返って
全身枯れ葉だらけ。
             


次は7チャンネル。

何だと思いますか。
              

「オサムライさん」

EXILEは刀を持ったサムライになった。

お茶の間またもや
爆笑そして応援。

間延びしてきた頃
私が言った。

「大人のテレビも観たいなー」

みみちゃん、リモコン。
ピッ。

すると、サムライがまじめな顔で座った。

「ニュースをお知らせします。
 今日、火事が置きました…」

お茶の間がはじけた。

            

お茶の間の背後には
凍った小川があった。
冬遊び。
せっかくだったら冬しか遊べない
小川の氷で遊んでほしい、
ふとそう思うが
それは大人の
単なるつまらない指導計画でしかない。
子どもたちはこの冬、
氷で遊び尽くしたのだ。

それよりも今ここで。
こうやってみんなでテレビを囲んでの
お茶の間ごっこ。
この意味は言葉では表しにくい。
指導計画に書くことも難しい。

子どもたちのはじけそうな
笑顔の裏に
その意味があるような気がした。
これでいい。
               

               
私も枯れ葉まみれ。
笑った、ぶっ倒れた。

こんなに素敵なことが
世の中にあるのかと思った。

そこにある物は
笹の葉と小枝と倒木。
こんなシンプルなもので
子どもたちはこれほど
遊び込み、笑い込む。
そこは創造力の世界だけだった。

子どもたちの
全身枯れ葉だらけの顔。
それは目頭が熱くなる程にいい、
綺麗だと思う。
                 

1年かけて作ったこの集団も
あと少しで終わりになる。
一生のうちであと何度、
この子と手をつなげるのだろう。
そう思いながら、
冬の保育が続く。

どうか一生、
この子たちが
笑って生きていけますように。
                 
               


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コメント

いつもステキなお話、ありがとう!
…毎年この時期はコドモたちの成長を嬉しく思う反面、
そこまできている旅立ちの日に胸が苦しくなります。
この子たちの人生の中で、私たちがかかわれるのは
ホンのいっとき。
でも全力で過ごしてきた日々を思うととても離れがたくて…

大好きなんだもん…みんなが。

投稿: ケイティ | 2011年2月12日 (土) 21時08分

ケイティさん

コメントありがとうございます。
淋しいですね。

昨年卒園式で
ある子に言われました。

「先生悲しいのー?
私たち嬉しいよー!」

なんと。

こうやって大人の想いを
どんどん置いざりにして、
前だけを向いて生きていってほしいです。

投稿: ピッコロ | 2011年2月12日 (土) 22時32分

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