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2011年4月11日 (月)

おばけが出るから

子どもたちとカエルのお墓を囲んで祈る。
墓は大きな石で丸く囲んである。
その真ん中にMちゃんが
雑草の花束を乗せた。

ナムナム…

すると新入園児のしんさんが
その花束の上に
回りの石を1つ取り、ガシッと置いた。

ワッ。

私は一瞬びっくりした。

子どもたちはとても静かに
それを見ていた。
そして誰かが石をどけた。

続き
ナムナム…

するとまたしんさんが石を乗せた。

ワッ、また。

子どもたちはどうするのかと思ったら
またもや全員シーンと黙っている。
そしてまた誰かが石をどけた。

で、また。
3回目の石。
誰かがどけた。

さすがに3回ともなると
これはしんさんの意志を感じた。

私「しんさん、どうして石を乗せちゃうの」

するとしんさんが言ったのだ。

「おばけがでるから」

おばけーー!?!?
、、、、

びっくりしたが、
しかしそれが彼の理由だった。
彼は怖いおばけを
自分でどうにかしたのだ。
石でふたをした、すごい。

しんさんに
「こらー!だめでしょー!」
と怒らなくて本当によかった、
と思った。

が、それと同時に
どうして回りの子どもたちが
黙っていたのかが
気になった。

ピッコロっ子なら
「あー、いけないんだー!」
「お花がかわいそう」
と言いそうなものだ。

そこで後日
子どもたちに聞いてみた。

私「どうしてしんさんが花に石を置いたのに
  だまっていたのかな」

花束を作ったMちゃんに聞いた。

「いやだった」
私「でもどうして何も言わなかったの」
Mちゃん「わからない」
    
私は本人はわかっていると思った。
ただ心を言葉にすることは
非常に難しいのだ。

Aちゃん(5歳)「おこりたくなかった」
私「えっ、怒りたくなかったの。どうして」
Aちゃん「かわいそうだから。卒園児みたいに怖くしたくなかった」

と言った。

先日卒園した年長組は
しっかりピッコロっ子を
まとめてくれた。
優しく時には厳しく。

好きだけど怖かった
卒園児の存在。
最上級生になったAちゃんは
同じようにはしたくなかった。


K君(4歳)はこう言った。

「花はまた摘めばいいと思ったから
 何も言わなかった」

ワッ…。

そして

「でも(花束をつくった)Mちゃんは
 どう思ったかは
 わからないけどね」

とも言った。


4才の男の子が
そこまで人の心を気使う事ができるのだろうか。
しかもフトコロが深い。
雑草の花束は
また作ればいいのだ。

大人はそうは思えないし
思いつきもしない。
責めるが叱るかがせいぜいだ。
                      

墓を囲んだ子どもたちは
どうしてしんさんが石を乗せたのか
その理由を理解した。
私はその為に保育をしているのだ。

私の好きな本に
『リトル トリー』がある。
その中で
「愛情をそそぐということは理解すること」
という話しが出てくる。
非常に奥が深い話しだと思う。

私は毎日の生活を通して
ピッコロっ子同志が
それぞれを理解してほしいと思っている

しかし人が人を理解するということは
とても難しい。
行動の裏の気持ちを表す、
目に見えない事を伝えるということだ。

その橋渡しを私がしている。
これが仕事だ。
                


そして最後、
怖い事に
今回、理由も聞かないで
「こらー!しんさん。
 花に石を乗せてはだめでしょー!」
とやったら
この子はずっと
心を開いてくれない。
今後、
一切理由を話してくれなくなるのだ。


子どもを信じるということは
こういう事だと思う。

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