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2011年5月30日 (月)

謝るとき

あっ君(年中組)と
はなさん(年少組)が弁当の時間に
けんかになった。

私が見た時は
はなさんが
「いやだいやだ」
と言って
あっ君を2回たたいていた。
するとあっ君が
はなさんを蹴った。
それではなさんが泣いた。

進級したばかりの2人のけんか。
訳を聞いても
小さすぎて何を言っているのか
よくわからない。

よーよーよーく聞いてみると
こうだった。

                   


昼食中に
レジャーシートに置いてあった
はなさんの弁当に砂が入った。
あっ君が砂を蹴ったらしい。

あっ君はこうだ。
はなさんの近くに立っていたら
後ろから
友達に押されて
砂を蹴ってしまったらしい。

なのでどちらも譲らない。

「だってあっ君が砂を入れたから!!!」

「だって、押されたのだから仕方ない!!!」
                   

こういう時ってどうしますか。


押されちゃったので
仕方がなかった旨を伝えても
はなさんの怒りはおさまらないし、
あっ君には
押されたのはわかるけれど
目の前に
砂が入ったことに
頭に来ている友がいる
ということを伝えても
納得しない。

2人ともイカッテいるのだ。
               

ややしばらく話していたが
おさまらないので、
私は退席した。

私「じゃあ、あとは2人で何とかできる?
  私、ちょっと片付けてくるから」
           
、、、、、、。
何とかできるわけない。
こんな小さな子たちなのに。

確信はまったくなかった。
しかし、これは
勘としかいいようがない。

そうしたかった。
              
             

私はそばで
弁当を片付けるふりをして、
背中で彼らの状況を伺っていた。

2人とも途中だった弁当を
食べ始めた。
私が退席したので
ラッキー!と
普段の2人に戻るかと思ったら、
2人ともだまって食べている。

こんなに小さな子どもたちだ。
絶対に食べている間に
けんかのことは忘れる、
はしゃぎだす、
と思っていた。

しかし、なかった。
静かなままだ。

お互い向き合いながら
微妙に目を合わさずに
神妙な顔をして
食べている。


何かを感じているのだ。

           

いつまで待っても
そのままのようだったので、
ここは大人の出番。

私はすっとぼけて

私「あー、もう仲直りしたんだ!」

と明るい声で言ってみた。

こんなしんみりしている彼らに
「仲直りしたんだ!」
はないよなー、
と思いながら
そこには私の願いがあった。

仲直りしてほしい。
そして
“私はまったくあなたたちに
 関与していません”
というメッセージでもあった。
            

するとそばにいた年長組が
「もうごめんねしたらー?」
と言った。

彼らもそれぞれ友達と
楽しそうに食べているのに、
どこかで
この2人のことを見ていたのだ。

私は年長さんが言ったことを
繰り返した。

私「ごめんねしたらだって、どうしようか」

まだ静かだったので、
私はまた知らん顔を貫いた。
背中で様子を伺った。
              


するとややしばらくして

突然、

あっ君が言った。
            

「ごめんね」

(うわっ!言った!)

息がとまった。
        
                

するとはなさんも言った。

「ごめんね」

しかしその声がとても小さい。
そしてあっ君の方をむいていないので、
あっ君に聞こえていない。

(はなさん、おしい! 聞こえてないよ)

と思った瞬間に
はなさんがまた言った。
今度はあっ君の腕を持って、
ハッキリと。

「ごめんね」

(よっしゃ! 言った!)

1人で感動していたら

今度はあっ君が
これまでピッコロでは
全く聞いたことがなかったような
ものすごく優しい声で
はなさんに言った。

「あのね、僕はね、押されたからね 
 仕方なかったのだよ。
 わかったね、はなちゃん」

なんて愛のあるいい方。

はなさんも素直に

「うん」

と言った。

私はすでにウルウルしている。
2人だけで解決したのだ、
この小さい子たちが。
          

しかし
ウルウルしっぱなしでもいられないか。

次は私の出番。

私「どうしたー?」(しらじらしい)

2人「謝った」

2人を抱いた。
褒めた。
彼らはものすごーく
いい顔をしていた。

キラキラだった。

             


しかし次の瞬間
私に疑問がでてきた。

「なんでごめんねなんだ?」

押されたから仕方ない
と言っていたのに。
はなさんは砂が入ってしまった本人なのに。
あの場を何とかしようと
ごめんねの言葉を使ったのか、
しかしやたらと
ごめんねを言えばいい
というものでもないし、、、。
                               


私「あのさ、
  あっ君はなんでごめんねしたの」

あっ君「蹴っちゃったから」
        

あーーー、
そうか、
蹴ったからか。
                 


でははなさんは

私「なんではなさんはごめんねなの」

はなさん「たたいたから」

あーーーー、
確かにたたいてたわ。
            

彼らは
なぜがわからず
取りあえず謝った訳では
全然なかった。
              


私は限界だった。
           
こんなに小さな子が
しかも2人だけで
解決したのだ。
大人がいてもいなくても
彼らは心のひっかかりを
ごまかさなかった。

自分がしたこと
相手が感じたこと
どうすればよかったのか。
それらを全部を感じていた。

まだ3歳と4歳だ。


心は育っている。
そして絆も育っている。
         

心を脇に置かずに、
とりあえずの人生は
もっとあとからでいい。

自分の心を
いやと言うほど
深く感じて
生きてほしい。

この時期だから、

そしてできれば
ずっとがいい。


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コメント

観察眼と文章力に脱帽です 突っ込みもおもしろい 子どもを見守る綿みたいですね 
以前保育士をしていて 今は遠ざかっていますが 子どもをピッコロさんみたいな 東京の日野市にある野外保育に通わせています また現場に戻りたくなりました またブログ拝見しますね 忘れていたものを思い出しうるっときました ありがとうございました 

投稿: tomoko | 2011年6月10日 (金) 00時12分

tomokoさま

初めまして、
ブログを読んで下さいまして
ありがとうございました。

現場で活躍されてこられた方が
現場が忘れられない思い、
わかります。

私は通常の幼稚園、保育園に勤めていた頃は
こんなにじっくり
子どもをみてあげられなかったと思っています。
私にとっても
ピッコロの存在は有難いです。

いつかピッコロを見にいらして下さいませ。
文にすることは難しく、
実際はもっとすごいです。
震えます、毎日(笑)。

投稿: ピッコロ | 2011年6月10日 (金) 21時57分

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